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【取材】日本企業でプロセスマイニングはどう活用されるのか

Center for Process Bionics Japan

 

<導入>

この度はデロイト トーマツ グループ(以下、デロイト社)のCenter for Process Bionics Japan(以下、CPB Japan)の立ち上げに際して、同グループの有川パートナーに取材させていただきました。デロイト社は、プロセスマイニングを中心とした業務プロセスの整流化に資するようなツール群をまとめ、ツールベンダーとグローバルアライアンスを組んだり、サービス開発をしたりといった活動を、CPBと称してグローバルで実施されています。そうした背景から、日本事務局として、CPB Japanを設立されたそうです。

 

<CPB Japan立ち上げ経緯>

APMJ             :CPBを立ち上げるきっかけや背景を詳しく教えてください。

CPB Japan    :プロセスマイニングサービスを立ち上げたのは、ツールベンダーが日本法人を設立し始めた2年半前くらいからです。デロイトでは、ドイツ(ミュンヘン事務所)が先行して6〜7年前よりサービスを立ち上げていたため、色々と教わりながらサービスを開始しました。彼らが主導して実施していたのがCPBで、一体的に「デロイト」として活動していくため、日本でもCPB Japanとして活動を開始しました。

 

APMJ             :日本拠点が作られた意義とはどのようなものでしょうか。

CPB Japan    :日本でもプロセスマイニングが注目され始めていますので、認知度の向上を、より一層加速していきたいと考えています。

 

APMJ             :Bionicsという言葉にこめられた思いを教えて下さい。

CPB Japan    :「プロセスは生き物」であり、日々変化し、硬直的なものではないという意味が込められています。これまで、プロセスを硬直的なものとしてとらえ、ツールで管理する・整流化しようとする活動は、長く行われてきました。そこで弊害となっていたのは、as is(現状)の調査をしている間や改善策を検討している間にプロセスが変化してしまうことでした。こうした点から、Bionicsには「プロセスは日々変わっている・動いている・生きているもの」であり、その前提で変革・改善に取り組んでいこうという意味がこめられています。

 

 

<CPB Japanの活動内容>

APMJ             :立ち上げの背景にはプロセスマイニングの需要が高まっているといった面もあるのでしょうか。

CPB Japan    :そうですね。昨年度から急激にプロセスマイニングに関するお問い合わせや案件が増えています。リモートワークの広がりを受け、DX推進の動きが活発がなっていることもあり、プロセスマイニングの需要が少しずつ増えています。

 

APMJ             :CPB Japan立ち上げ以降、日本で認知度を高めるためにされていることを伺ってもよろしいでしょうか。

CPB Japan    :CPB Japanのサイトを立ち上げたのはその一つの施策です。あとは、2年前から個別テーマ(業務改善・内部監査・内部統制・不正モニタリング等)ごとにプロセスマイニングを活用したご支援内容を掲載したサービスサイトを作成したり、ウェビナーを行って広報活動をしたりするとともに、既存のお客様にもご案内をしています。

 

APMJ             :CPB Japanが日本で活躍するために今後どのような展開をされるかビジョンをお伺いしてもよろしいでしょうか。

CPB Japan   :まずは、日本国内の企業様の「プロセスマイニングってどういうものなの?」という問いに「なるほどね」とご納得いただけるような説明ができるよう、デロイトが持つ豊富な事例を、資料やデモ等を通して1社でも多くの企業様へご紹介していきたいと考えています。プロセスマイニングは業種に関わらず、広くご利用いただけるツールです。日本国内でもすぐに、どこの業種でも利用されている状況になるのではないかと考えていますので、そこに少しでも貢献できればと思います。

 

APMJ             :一方で、日本企業はプロセスマイニングの導入が進んでいない部分も多いと思うのですが、CPB Japanとして、どうアプローチしていくかご検討されていることはありますか。

CPB Japan    :プロセスマイニングは用途が幅広いがゆえに「どの部門にお持ちすればよいか?」が悩ましいツールでもあります。各企業様のどこにペインポイントがあるのかを見極めた上で、その解決にプロセスマイニングがどのように役立つのかを検討し、課題を主管なさっている部門へ伺うことが大切だと考えています。

 

 

<プロセスマイニングの活用方法>

APMJ             :プロセスマイニングをリスク管理で使うことが多いのでしょうか。

CPB Japan    :はじめに我々がプロセスマイングに着目したのは、不正モニタリング、監査、内部統制での活用ツールとしてでした。今は時節柄、DX推進をなさっている企業様が多いため、業務改善での利用案件が多いですが、今後は不正モニタリング・監査・内部統制での活用も広く行われることになると考えています。

 

APMJ             :顧客はどういった業種の企業様が多いですか。

CPB Japan    :今のところ製造業の企業様が多いですかね。ただ業種を限定せずに利用できるツールであるため、あらゆる企業様にお持ちしています。

 

APMJ             :それは製造業がプロセスマイニングを活用しやすい業務工程ということでしょうか。

CPB Japan    :プロセスマイニングは、既にシステム化・デジタル化されているプロセス、また、ERP等のメジャーなパッケージシステムを利用している場合、導入しやすいです。製造業ではそういったプロセスが多く、日本のようにプロセスマイニングサービスが始まったばかりの環境下では、まずはそちらからというのは自然な流れだと思います。

 

APMJ             :導入した企業は、プロセスマイニングをすぐに使いこなせるのでしょうか。

CPB Japan    :ツール自体はとてもわかりやく使いやすいものが多いですが、それを使って何ができるのか、何をするのかというところは、これまでコンサルティングやアドバイザリーに従事してきた者の勘所みたいなものが、お役に立てる部分が多くあります。自社での展開をご検討されている企業様にも、出始めはご支援させていただきながら、段階的に自社体制で活用されていくことをお勧めしています。そのためのPoCのサービスや教育プログラム等もご提供させていただいています。

 

APMJ             :プロセスマイニングを導入する際には部署単位など部分的に導入するのですか。それとも工程全部に対して導入するのですか。

CPB Japan    :パターンはいくつかありますが、まずは1,2つのプロセスで導入いただき、その他のプロセスへ展開していくパターンかと思います。システムのユーザー部門(業務部門)が主導なさることも多いですが、社内のシステム環境を熟知なさっているシステム部門の関与は欠かせないです。

 

APMJ             :貴重なお話をありがとうございました。

 

 

取材をさせていただいたCenter for Process Bionics Japanのホームページはこちらです。

https://www2.deloitte.com/jp/ja/pages/risk/topics/center-for-process-bionics.html