ブログ

pocお問い合わせ 一般ユーザー会員募集中 お問い合わせ

ICPM2023報告会を開催しました

昨年10月、当協会の学生2名が国際学会であるICPM(International Conference on Process Mining)へ参加いたしました。

ICPMは、プロセスマイニングに関する最も主要な学会の一つ
世界中の研究者や学生、ビジネスパーソンらが一堂に会して情報共有を行います。

2024年2月5日に開催された「ICPM2023 報告会」では、ICPMでの学びと体験を報告し、
会員の皆様と共有いたしました。

ICPMの参加報告に加え、プロセスマイニングのデモデータを生成するWebアプリデータジェネレータ」についての紹介や、Excel管理表からイベントデータ生成を楽にするツールUltraData」の紹介なども行い、参加者の皆様との意見交換も行うことができました。

以下の記事では、報告会の模様を録画と共にお伝えします。

ICPM2023のご報告

ICPMに対するご質問

ICPMに参加した際、何が一番熱く語られたか?

藤井:論文の発表というよりは、プロセスマイニングに深く関わっているWil教授や、Apromore CPOによる基調講演などが印象的でした。将来のプロセスマイニングを見据えた意見を聞くことができ、興味深かったです。

情野:5日間という長い学会だったので、盛り上がった部分は沢山ありましたが、やはりApromore CPOによるAI Drivenはstep by stepというお話が興味深く、参加者のリアクションも良かったように思います。

もう一つ挙げるとすれば、パネルディスカッションが印象的でした。ツールを提供するベンダーや、ツールの活用促進をしているコンサルティング会社、当事者としてプロセスマイニングを使っている方など、プロセスマイニングの実行の最中にいるように感じられ、興味深かったです。

AIを活用していきましょう、人を楽にさせていきましょうという全体的な傾向に対して、プロセスマイニングでは、OCPMなど高度な進化も見受けられ、一般のユーザーにとってはデータの収集・加工など、技術を理解しないと使えなくなるのではないかと懸念している。ICPMにおいてデータに関する疑問や難しさにどのように対応していけばよいかという話がもしあれば、教えてほしい。

藤井:レベルの高いアカデミックな学会であったためか、データは持っていることが前提とされており、どちらかというと機械学習モデルをしっかり構築し、高い精度を出すところに重点が置かれていました。企業が導入するうえでのデータの準備の難しさなどはあまり議論されていませんでした。

情野:研究で用いられるデータはインターネット上に公開されているデータセットに統一されていました。そのため、実際の業務などにおけるデータ収集の懸念点についての議論はほとんどありませんでした。

パネルディスカッションの登壇者はどのような人だったか?

ベンダーとしては、ヨーロッパ圏では有名な大手のプロセスマイニングベンダーQPRとmpmXから登壇がありました。コンサルティングに関しても、テクノロジーに特化したコンサルティング会社Capgeminiの方やRPA技術の開発とコンサルティング業務を行うRoboyoの方が参加していました。また、ユーザーとしては、LufthansaやABBのCoEが登壇していました。

海外の学生はどのくらいいて、どのくらいアクティブに議論に参加していたか?

同年代の学生も多く、登壇して発表している学生もいました。

ICPM 2023の参加者内訳は以下の通りでした。

学生がプロセスマイニングを勉強するとき、どこでつまづくと考えられるか?

情野:私が大学2年生のときにプロセスマイニングを勉強し始めたとき、Celonisのアカデミーを最初に使用しました。一番最初につまづいた点は、英語です。英語のコンテンツが多く課題として感じられました。業務に対しての知識が無かったため、「ベンダー」などの単語が分からず、その先に進むことが容易ではありませんでした。また、プロセスマイニング独特の単語(ケース、バリアント、イベント、アクティビティ)の概念をそれぞれ理解することが大変でした。しかし、そのような第一段階をクリアしてからは、プロセスマイニングについて理解が進むようになったと感じます。

藤井:プロセスマイニングを勉強し始めると、まず登場するペトリネットでつまづいてしまうのではないかと思います。ペトリネット上で件数などが表示されるが、学生時代は実際の業務を知らないため、規模感も分からず、ぴんと来ないのではないでしょうか。また、リワーク分析や自動化率など、学生が持たない視点でプロセスマイニングは語られます。この視点をどのように知っていくかは重要だと思います。

百瀬先生:もう一つ重要なのは、プロセスモデルの理解。学生だけでなく、一般のユーザーについても、プロセスのフローが理解できていないことが多い。プロセスモデル分析をちゃんと理解させないと、その先に進むことはできない。プロセスマイニングというと、データとペトリネットと言われるが、「プロセスをどう見るべきか」というプロセスモデルの概念を分かっているかどうかで、理解は全く変わってくる。業務を知る前に、プロセスモデルを分からせないと、なぜ縦に並ぶのかということさえ分からない。

大学でプロセスマイニングを学んでいる学生はどのようにプロセスモデルを理解しているか?

情野:プロセスモデルについてしっかり勉強したことはなく、業務や経験を通して概念的になんとなく理解している状態だと思います。「プロセスモデル」と章立てされた教科書を読んだというような経験はないです。

藤井:どういうデータがあり、どういった分析がよくされているか、課題があるかというような、実務で学ぶことが一番の近道だったと感じます。

当協会代表理事からの補足

データジェネレータについての紹介

プロセスマイニングのデモデータを生成するWebアプリ「データジェネレーター」について、開発者である藤井が講演いたしました。

UltraDataについての紹介

KDDIの近藤裕司様より、イベントデータ生成ツールであるUltraDataを中心に、プロセスマイニングにおけるデータ生成・処理について講演をしていただきました。

参加者様の声

藤井さんと情野さんによるリアルな報告は、日本でのプロセスマイニングの発展に寄与するものだと感じました。報告された要点を的確にレポートいただいたことによって思慮を深めることができました。

最新動向から具体的なツールの使い方まで、参考になりました。

導入支援をする立場として、今後の業界の流れやグローバルの動向を知れたことは有難く、有意義な会でした。

AI時代のプロセスマイニングの在り方や展望にイメージを持つことができました。また、世界の潮流としてもデータ取得や質に対する課題認識と講じるべき取り組みが議論されていることも得られ良かったです。

報告会ではデータジェネレータやウルトラデータといった、ビジネスにおけるボトルネック解消に向けたソリューションについて知ることができ、プロセスマイニングの活用可能性が高まったように感じました。