インタビュー

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【Gran Manibus】宮下CSOに聞くプロセスマイニングとDX

 

-御社ではコンサルティングサービスとビジネスデザインサービスの二本柱を通じて、クライアント企業の新たな事業価値の創出・最大化に取り組まれているとお伺いしました。改めて、事業内容やクライアント企業の特徴について教えていただけますか?

おっしゃる通り、弊社は主にコンサルティングサービスとビジネスデザインサービスの二つを提供しております。特に、ビジネスデザインサービスは最近発足したばかりで、旧態依然な請負型のサービスではなく、「自ら提案し、お客様と共に共創していくこと」を目的としています。

クライアント企業様は、製造業から金融業など幅広く、どの業界も網羅的にご支援させていただいております。また、ビジネスデザインサービスにおいては、インダストリーカットではなく、テーマカットで行わせていただいております。ヘルスケアやAgriTech(アグリテック)、地方創生、FinTech(フィンテック)、EX(エネルギートランスフォーメーション)などのテーマに対し、分野・業種横断で新しい事業価値の創出に繋げていきたいと考えています。

 

-ビジネスデザインサービスを導入された背景を教えてください。

コンサルティング業務の今後の方向性を考えるにあたり、先ほども申し上げました通り、従来の請負型のみならず、お客様と一緒に事業を作り、また自ら提案することを新たな軸として進めていくことを目指しております。お客様から頂いた課題解決だけではなく、一緒に新しいビジネスの共創を目指していくチームとして立ち上げました。

 

-Gran Manibus社がプロセスマイニングに取り組み始めた経緯についてお教えいただけますか?

もともとはプロセスマイニング協会の百瀬さんを通じてご紹介いただきました。

これまでのコンサルティングは、現場でのヒアリングを通じてビジネスプロセスの改善を進めていく形が多かったのですが、一般に人間が理解し、管理できるタスクには限りがあると言われており、プロセスの可視化や課題発見には一定の限界があります。現在では多くの情報がデジタル化されている中で、そのデータをプロセスマイニングツールに通すことで、アナログで行うよりも多くの課題点などを掘り起こすことができるという点において、非常に画期的だと感じ、プロセスマイニングツールの導入を検討することになりました。

 

-当協会の百瀬からプロセスマイニングについてお聞きになった際、宮下様はどのように感じられましたか?

従来からプロセスを分析するという手法は存在しましたが、それだけでは追いきれなかったり、偏りが生じてしまったりすることを問題視していました。そのため、データから理論を使って分析できるプロセスマイニングはとても興味深かったですね。

 

-そうなのですね。実際にプロセスマイニングの導入を検討するなかで、他に魅力的に感じられた点などはございましたか?

先ほども述べたようにデジタルデータから業務プロセスなどが客観的に可視化できる点だと思います。

但し、デジタルデータ化されていない部分をどのように拾うか、データとしてあったとしてもどのようにクレンジングするか等は検討が必要だと思われます。

 

-プロセスマイニングを導入するにあたり、データ分析・データ活用ができる人材が必要不可欠です。しかし、日本にはまだまだそういった人材が少ないとの声もありますが、この点についていかがお考えでしょうか?

弊社ではDXのプロジェクトを進める際に、「ビジネスクリエイター・ビジネスアナリスト・テクノロジーデザイナー」という三者が1つのチームとなって携わるようにしています。この中のテクノロジーデザイナーは、技術者というだけではなく、テクノロジーの観点からビジネスをデザインできる人材です。

これまでは、企画・評価・開発等がバラバラに行われていたり、開発を下請けで行っていたりしたところも多かったと思いますが、今後はテクノロジーデザイナーが一緒になってビジネス創出に関わっていくべきだと考えています。そのための人材育成としては、やはり座学だけではなく実務を通しての育成が重要だと思います。そういった機会が増えることによって日本でも人材が育っていくのではないでしょうか。

 

-これからの人材に求めるスキルや能力はどういったものがありますか?

自ら課題を設定し、自ら解決する力を持っている人は、やはりどこの企業でも求められるでしょう。これまでは決められた課題・テーマに関して受動的に取り組むだけのことが多く、応用力がなかったり、自ら考える力が身につけられていなかったりする人が多くいました。そうなると常に「待ち」の姿勢となってしまい、新しいビジネス・付加価値を生み出すことが難しくなります。

「なぜなぜ君」という言葉が流行ったこともありますが、「なぜこうなっているのか」を自問し、周りの社員に問うことができる人材は非常に重宝されます。まずは形式的にでも、企業などが自らの思考を促していける環境を作っていくことが良いのではないでしょうか。

 

-これまでのご経験を通じて見えてきた日本企業の課題があればぜひ教えてください。

個人的な見解になってしまいますが、いくつかあると思います。以前からは大分変ってきていますが、まだまだスペシャリストの育成がしづらく、ジェネラリストばかりが育成されてしまっているような気がします。例えば、社内のキャリアの育成の一環で色々な部署を転々としたりすることもあり、何かに特化した専門性を身につけにくい風土がまだまだあると思います。極端な言い方をすれば「金太郎飴」のように同じような人ばかりになってしまって、異なったアイデアが生まれにくくなってしまうという点などが挙げられます。

 

-日本企業のDXの現状についてはいかがお考えでしょうか?

そもそも、DXの中にもデジタイゼーション、デジタライゼーションやデジタルトランスフォーメーションなどがあり、デジタル化施策のロードマップを描けていないまま、とりあえず突き進んでいる部分も見受けられます。まずは自分達の現状を認識し、そこで判明したDX推進のための課題を理解した上での進め方を考えるべきだと思います。

 

-データクレンジングにはETLツールなどが必要になりますが、こちらも非常に高価なツールです。このように、プロセスマイニングを導入するにあたり、現状ではやはり費用が大きなネックとなり、なかなか中小企業までの広がりは見られないとの声もありますが、いかがお考えですか?

私もいろいろな方々とお話しさせていただくなかで、このような中小企業への広がりを課題としてもたれている方が多いと感じます。たしかに中小企業が一足飛びに導入するのは難しいですが、まずはデータを整理できる手法などをプラットフォーム化してサービスメニューとして提供していければ良いと考えます。デジタル化の整備が進んだ中小企業を次々に作っていかなければ、日本の国力は上がっていかないでしょう。

 

-御社では今後、どのようにプロセスマイニングを活用した事業を展開されていく予定でしょうか?

例えばバーティカルSaaSにプロセスマイニングに組み込み、バーティカルSaaSを利用している企業の人たちに改善を提案していけるようになればと考えています。

 

-当協会の一般ユーザー会員には、若い方からも多くのご登録をいただいています。これまで培われてきたご経験から、今後プロセスマイニングを活用しようとされている若手層の皆さまへアドバイスがあればお願い致します!

若い方へですと「自分自身の中でどれだけ多様性を作れるか」が非常に重要だと考えます。例えば、色々なジャンルの本を読んだり、積極的に色々な講座を受けたりと様々な分野の基礎部分や教養を身につけることは多様性を作っていくことに繋がるでしょう。

なぜこれが重要かというと、多様性は引き出しの多さや視野の広さに直結する部分だからです。こういった力を持つことで仕事がうまくいくこともあるでしょうし、逆に何かで行き詰まった時に別の角度から捉え直すことで望ましい結果を得られることもあるでしょう。

あとは、このコロナ禍で、自分の時間を有効活用して、様々スキルセットを身につけていらっしゃる方も多いと感じていますが、あまり追い詰めすぎず、時には「無駄と思える時間」を過ごすことも重要だと思います。確かに、仕事のときは生産性をあげていく必要はありますが、あえて無駄な時間を作ることで、余裕を持ちながら落ち着いて物を考えられるようになったり、予測が難しい時代の中でも柔軟な対応ができるようになると思います。限られた時間の中で様々な教養を身につけつつ、あえて無駄な時間も過ごしていく中で、自分の中の多様性を豊かにしていってもらえたらと思いますね!

 

-貴重なお話をお聞かせいただき、ありがとうございました。

 

今回インタビューさせていただいた、株式会社Gran Manibusのホームページはこちらからご確認いただけます